竹中 労(たけなか・ろう)
1930年生まれ。東京外語大学除籍。フリーのルポライターとして活躍。政治から芸能まで広い分野をテーマに、権威とは無縁な時代の心性を掘り起こす文章は、竹中節として多くの読者を魅了した。91年5月19日肝臓癌で死去。父親は画家の竹中英太郎。
主な著書に『黒旗水滸伝』『山谷・都市反乱の原点』『琉球共和国』『世界赤軍』『ビートルズ・レポート』『にっぽん情哥行』などがある。
昭和という時代にはいつも美空ひばりの曲が流れていた。その旋律を奏でていた天才歌姫を等身大で描きながら、昭和という時代はどうだったのかを問いかける渾身のドキュメンタリー。
「なぜか人は昭和に別れを告げるように、去ってゆく。美空ひばりが重態であると彼女に親しい筋から知らされたとき私は、おのれの胸の底に暗い穴をあけて吹きぬける、風の音を聞いた。
五十二歳の早逝を傷みますまい、あなたは正真正銘の菩薩となって、夢の世でもうたいつづけているにちがいありません。間もなくそこへゆく私たちはただ、美しく哀しい歌を有難うと、おのが心に囁くのみです。」(本文より)
竹中労 =著者
四六並製/本体1,500円/336P/2019.12.19/374-4/C0023
晩聲社 YouTubeチャンネル「BOOK BANSEI」にて、朗読動画公開中です
まえがき
第1部 笑顔と涙の遠い道
第1章 私は街の子 生いたち(一九三七〜四七)
屋根なし市場のころ
瓦礫の街より
のど自慢狂時代
第2章 リンゴの花びらが スターヘの道(一九四八〜五二)
横浜国際でのデビュー
スター誕生
越後獅子の唄 前半
越後獅子の唄 後半
第3章 わかれ道 ひばり自身の追憶から(一九五二~六五)
涙に虹のかけ橋を
『たけくらべ』前半
『たけくらべ』後半
影を慕いて 前半
影を慕いて 後半
第4章 さよならの向うに ひばりはどこへゆく
女の花道
芸と妻の間で(手記)
理解離婚
第3部 かくて、それからの美空ひばり
第4章 ひばり昇天
I ひばり、翔びなさい!
Ⅱ かくて、昭和は終わりぬ
Ⅲ さらば! ほろびゆく夏の光よ
Ⅳ 国民栄誉賞を嗤う
あとがきにかえて 美空ひばりに捧げるオマージュ
色は匂へと散りぬるを
哀愁波止場から太平天国へ
/遠くチラチラ灯りがみえる