弾劾クライシス ~民主主義が崩壊した瞬間~

蔡明星 =著者

朴玲実 =訳者

 

四六並製/320P/本体1,800円/2019.11.21/373-7/C0036

 


「振り返ってみると、弾劾事態はあたかも存在もしない悪魔を追い出そうと、国中が狂った厄払いではないだろうかという気もする。厄払いにはいろんな人々が集まってくる。誰かは『あの女は取り憑かれた』と騒ぎ立て、誰かは巫堂(ムーダン・韓国の霊媒師)の絢爛たる刃物の舞いを見ながらずっと手を合わせて祈る。その一方で、つべこべ言わず黙って便乗しようとする者たちもいる。しかしながら、我々は本当に悪魔を追い出したのだろうか。いや、そもそも悪魔自体が実際に存在したのだろうか。」(著者)

 

1ウォンも受け取っていないのに賄賂罪とされた刑事裁判は、ネット操作による未来社会の危険を提示している。日本でも無関係ではないネット社会の恐怖を明らかにした書。

 


まえがき 何故わたしは本書を出したのか

プロローグ 大統領罷免の日

 

第1章 憲法裁判所は審判なのかコーチなのか

01 やっつけで可決された「政治弾劾」

02 大統領代理弁護団

03 最初から証拠採択をめぐり攻防

04 葬り去られたタブレットPCの真実

05 事実上の証拠となってしまった「安鐘範手帳」

06 ブレーキのない特検

07 「3月13日までに宣告しなければ」

08 高永泰らの証人採択消滅

09 傾いた審判廷

10 朴槿惠大統領はなぜ出席できなかったのか

11 罷免前夜

 

第2章 実態のない罷免事由

01 「憲法守護の意志」の判断の虚構性

02 「セウォル号無関係」に敢えて「補足意見」

03 味方を作らなかった朴槿惠大統領

04 崔順実「壟断」はなかった

05 ミル財団は全国経済人連合会が主導

06 崔順実をゆすろうとしていた高永泰

07 ユク夫人「青瓦台国民請願は注意深く」

08 「重大さの原則」自ら破り

 

第3章 「法治の名を借りた政治報復」

01 「人を穢すのか」

02 「いつもお祈りされているんだ」

03 文在寅政権の援護射撃

04 朴槿惠大統領の最後の決断

05 鄭維羅の馬

06 三星「黙示的請託」の虚構

07 「ロッテ70億ウォン」と「SK 89億ウォン」

08 1ウォンももらっていない賄賂罪

09 職権濫用罪の濫用

 

第4章 嘘の山

01 現れた黒幕

02 女性であるという理由だけで

03 ロウソクが革命だって?

04 おわりに―2つのフレーム

 

付録1 弾劾審判大統領意見書

付録2 大統領代理弁護団 蔡明星弁護士の憲法裁判所弾劾審判 最終弁論

付録3 鄭虎星秘書官が見た朴槿惠大統領、そして悔恨

付録4 朴槿恵大統領弾劾事態主要タイムライン

 


蔡明星(チェ・ミョンソン)

1978年韓国釜山(プサン)生まれ。養精(ヤンジョン)高校、ソウル大学法科大学を卒業。同大学の大学院法学科知識財産専攻で修士学位を、アメリカのサンタクララ大学ロースクールでLL.M.を取得した。2004年第46回司法試験に合格して、釜山高等検察庁、法務部(法務省)、ソウル高等検察庁の法務官を務め、法務法人ファウを経て、現在法務法人鮮正(ソンジョン)弁護士として所属している。韓半島の人権と統一のための弁護士の集い(韓弁(ハンビョン))の共同代表、最高裁判所の量刑委員会委員、大韓弁護士協会法制理事及び北朝鮮人権特別委員会・統一問題研究委員会委員、大韓特許弁護士会副会長、国会社会貢献フォーラムの法律政策委員会委員長、民主平和統一諮問会諮問委員、ネイバー・カカオニュース提携評価委員会委員などを歴任した。

 

朴玲実(パク・ヨンシル)

1985年兵庫県生まれ。2008年立命館大学国際関係学部国際関係学科卒業。2012年高麗大学校教育大学院韓国語教育学修士課程修了。(財)神戸学生青年センター韓国語非常勤講師(2013~ )、私立甲南大学韓国語非常勤講師(2016~ )、兵庫県立尼崎工業高校朝鮮語非常勤講師(2019~ )。