……人は、無力だから群れるのではない。あべこべに、群れるから無力なのだ。(中略)
組織を持たぬということは、ただ孤立することではないのだ。人間は、ピラニアのように純粋ではあり得ない。だが、集団・組織に依拠するとき個的な戦闘力は減殺されるという摂理において、かれらと私たちの間に境界はない。警察・軍隊という巨大な暴力装置を有する国家権力に、せいぜいゲバ棒や鉄パイプで武装(?)した"軍団"が、どれほどの打撃をくわえ得るだろう?(本文より)
組織を頼らずペンの力のみで権力に対抗する竹中労のエネルギーはどこから来るのか? 自らの半生を紐解きながらルポライターとしての生き様を赤裸々に語る。
竹中労(たけなか・ろう)
1930年生まれ。東京外語大学除籍。フリーのルポライターとして活躍。政治から芸能まで広い分野をテーマに、権威とは無縁な時代の心性を掘り起こす文章は、竹中節として多くの読者を魅了した。91年5月19日肝臓癌で死去。父親は画家の竹中英太郎。主な著書に『黒旗水滸伝』『山谷・都市反乱の原点』『琉球共和国』『世界赤軍』『ビートルズ・レポート』『にっぽん情哥行』などがある。